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そろそろマジメに原稿に向き合え自分。 [本ネタ。]

ええと、タイトル通りです。←おい。
その前に、ちょっとずっと気になってた本を、気になったままだと余計に気になるよと思って買って読んだのでちょっと宣言ついでに書こうかなーと。
ビーンズ文庫でかなり長いこと出ていた「彩雲国物語」ですが、一巻が出た時は、十二国の焼き直し?と私も一瞬思ったくらいなので、主上ファンには特にアンチの人が多いかもなーと思いつつ。←………。

彩雲国本編じゃないですよ、あれは問題なく読みました。大風呂敷も広げず、おそらく作者が予想していなかったほど続いたであろう物語をなんとか無難に着地させたと思っています。
問題は、三月末に出たハードカバー。

彩雲国秘抄  骸骨を乞う

彩雲国秘抄 骸骨を乞う

  • 作者: 雪乃 紗衣
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/03/27
  • メディア: 単行本


出た時は5月の〆切で忙しかったというのもあるんですが(………)どうしようかなと思いはじめたときには賛否両論のレビューが入り交じっていて、うーん??とかなり迷ったんですよ。
正直、彩雲国の本編は、きれいに着地はしましたが、問題山積み、しかもバッドエンドとは行かないまでも、ハッピーとは到底言いがたい終わり方でした。ハッピーエンドで楽しく終わったと評されているのが理解できないくらいです。。。
だって、絶対に、そばにいられる時間が短いと分かり切っている相手を心底から愛して、しかも失ったと思った時の絶望まで分かっているのにそれを二度体験するわけデスよ。その上国政はそもそも側近は若すぎる、頼みの綱の宰相は寿命が短いの分かってる、人望はどう考えても王よりも謀反した相手のほうが高いとなれば、舵取りが難しいのは分かり切ってるし。
どうにもこうにも煮ても焼いても喰えない人たちをどうするのか、どうやって傷つきたくないのと同じくらいに傷つけたくない脆い心を繕っていくのか、それに一度謀反した経歴のある有力貴族がどうやってあとを乗り越えるのか、それまでどんな経緯があったのか、本編では説明されなかったいろんな疑問を、この本で解決したんだな、と思いました。
ビーンズでやらなかった理由は、おそらくビーンズのターゲットである中高生には理解しにくいからでしょう。あの終わり方で、「楽しいハッピーエンド」としか捉えられない若さ相手に、すべてにまつわる「死」を描けないのは当然だと思います。ちなみに、王がこの本でさえも甘ちゃんだとは思えません(為政者として必要十分な、いわば残酷さをすべて備えたとは思えないし)。ついでに、作者が旺季とその周辺に傾倒したとも思えないです。彼は、おそらく「過去」のすべてを引き受けつつ、やはり残酷にはなりきれなかった人なので、説明する必要があったんじゃないかと。もう一人の主役、悠瞬も、彼ほど冷酷かつ天才的であることを貫いたキャラクターはそういないと思うんですが、彼がいい加減な流れで主君を決めるとは到底思えないので、その説明は欲しいところでした。
この短編集(というには少々分厚い)ではそういった説明がきっちりされていて、もやっとしていた部分がきれいにされた気がします。最も信頼する存在、最も尊敬できた存在、最も愛する存在を相次いで失う王の姿をまともに描くことで、突き放された思いがするのかもしれないなとは思いますが、作者は旺季のための補完をしたと考えるには、旺季派でいちばんまっとうな皇毅が名前しか出てこないのが変だし。というか、この作者は常に残酷なくらい(そう、本編でも容赦なく)話に関係のない人は出してこなかったから、そういうことなんだろうなあと思います。
皇毅は旺季の死に影響は受けただろうけれども生死を左右されるほどではなく、悠瞬の死に最も過敏だったのは王、そして秀麗の死を埋めるために、彼女は影響されるだろう周りのすべてに王のための遺言を残していった、と。
必要なのは、娘を抱き上げて外に出るだけの力を認識する王の姿であって、娘の存在そのものではないのだとそう思えます。

悪夢の国試組の話は正直要らんと最初は思ったんですが(笑)悠瞬が、黎深を受け入れる(正確には巻き込まれる……)ための土壌と、国試にあった前時代の荒廃と戦争の凄まじさを説明するにはちょうどよかったのかなと思います。結局晏樹と悠瞬は対岸にいて、見事なぐらいに分かり合ってないなーと………うん、困った人になつかれると困るよね。旺季といい悠瞬といい。そういう意味では似てるかも。


うーん、こんな長々っと書いてるのは、さて私に書けるだろうかとふらっと不遜にも思ってしまったからなんですよね(笑)ええ、雪乃先生には大変失礼なことはよくわかっているんですけども。
でも、さあナル麻衣でもジーンでもいいから真っ向から書けるのかと、オリキャラでもいいですが(ったってひとさまにはほとんど見せてないけど)、とにかくここまでまっすぐに見据えられるかっていえば、どんなに考えても無理でした。
想像ができないわけじゃないです。もう二年になりますか、亡くなった祖母は私にとって唯一の理解者、というか、唯一受け入れてくれるひとでしたので、もう駄目だと思った瞬間にどんなに目の前が真っ暗になるか、身を以て知っています。両親も妹ももちろん失うわけにはいかないかけがえのない存在ですが、それとは次元の違うところで、彼女は私を丸のまま、何一つ否定することなく受け入れてくれた、幼い頃から本当にたったひとりの存在でした。あんなふうに大切な存在を失うことを、こんなに克明に描くだけの覚悟は私にはありません。

以前新聞誌上で、本を読むのが好きだから、時間ができたら小説を書きたいと思いますという投稿に、小説家は残酷でなければなれるものではないと回答していた作家さんがいらっしゃいました。確かに書くというのは精神を削るもので、生半可な気持ちでは他人が読めるようなものは書けない、と私も思い、その時はまったくだと思ったのですが、全く別の次元で、ああ、私には無理だなとしみじみと感じたのでした。
それだけの覚悟がないというか精神力もない。

うーん。
原稿前に自分の根本的な力不足を痛感させられるというのもなかなかなんとゆーか、覚悟の要る話ですねえまったく(苦笑)
とりあえず、せめて、読者の方にがっかりされないようなものを書きたいなと思います。
道は甘くはありません。(笑)
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